第181章 恥をかくのが怖くない

「冬馬が帰ってきたわ」

温井知夏の姿を認めた瞬間、津崎玲美の表情がぴくりと固まった。だが次の瞬間には、作り物めいた笑みが貼りつく。

「静香、このお嬢さんは冬馬の秘書かしら? 会社で見かけたことがないけれど……それとも、新しく入った社員?」

含みのある言い方に、黒崎静香は眉をわずかに寄せた。

「冬馬、あなたが言いなさい」

黒崎冬馬は母娘を冷えた眼差しで一瞥し、薄い唇を開く。

「知夏は、俺の――」

言い切る前に、津崎詩織が声を挟んだ。

「従兄。今日は叔母さまのお誕生日でしょう? なのに『お友達』を連れてきて、その人、手ぶらじゃない。さすがに失礼じゃない?」

わざとらしく語尾を伸...

ログインして続きを読む