第200章 彼に命令する

「大丈夫か?」

車が止まった瞬間、黒崎冬馬は隣の温井知夏を慌てて確かめた。

「平気」

知夏は小さく首を振る。

前に事故に遭ったせいだろうか。さっきの急ブレーキで、胸の奥がひやりとした。

青白い顔色の小さな横顔に、冬馬の瞳が痛むように揺れる。

「知夏――」

そのとき、窓の外から聞き慣れた声が飛んできた。

声を聞いた瞬間、知夏の目に露骨な嫌悪が走る。苛立ちを隠しもせず視線を向けた。

「死にたいなら人のいないところでやってくれる? 巻き込まないで」

さっき冬馬の反応が遅ければ、事故になっていた。下手をすれば死人が出ていた。

九条司は唇を結ぶ。

「知夏、話があるだけだ」

知...

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