第220章 遠回しに言うな

清水三郎は、母のこめかみに混じる白髪を見つめ、しばし黙ってから保温バッグを受け取った。

「……ありがとう、母さん」

清水由衣の目元が、みるみる赤くなる。

この数年、息子の病気に付き添い、心も体も擦り減らしながら、それでも一度だって諦めなかった。

そして医師から「回復は順調、退院できます」と告げられた今、誰よりも嬉しいのは彼女だった。

退院手続きを終えると、清水由衣は息子の手を引いて病院の正面玄関を出る。

陽光が二人の肩に降り注ぎ、じんわりと温かい。

「三郎、帰ろう」

清水三郎は小さくうなずき、母に続いて車へ乗り込んだ。

三十分後、車は清水家の別荘の門前で止まった。

清水三...

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