第38章 九条美幸の仮病を発見する

「泣かないで。もう全部、終わったことよ。今からでも遅くないわ」

温井千代は首を横に振り、娘をそっと抱き寄せた。

その夜、母娘は同じ布団に入った。あれこれと話が尽きず、気づけば夜更けまで起きていて、ようやく眠りに落ちた。

翌朝、温井知夏はふわりと漂う料理の匂いに引き戻されるように目を覚ました。

身支度を整えて階下へ降りると、真っすぐ台所へ向かう。

「お母さん、なに作ってるの?」

「全部、あんたが昔好きだったものよ」

温井千代は振り返りもせずに答え、フライパンをあおる手を止めない。

食卓にはすでに、知夏の好物がいくつも並んでいた。まだ7時を少し回ったところだ。

自分のためだけに...

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