第40章 病院へ駆けつける

温井千代は娘をそっと放した。

温井知夏は端正な眉をきつく寄せる。

温井千代の瞳に心配の色が差す。

「知夏、出てみたら? 大事な用かもしれないじゃない」

一瞬ためらったものの、着信が切れかけたところで温井知夏は通話を取った。

「九条夫人」

声音はいつもどおり、ひやりと淡い。

「知夏! 杏奈がいま救命処置に入ったの。病院に来て、杏奈の顔を見てあげられない?!」

受話口の向こうから、九条美幸の切羽詰まった声が飛び込んでくる。

ついさっきまで騙されていたばかりだ。温井知夏の胸はすぐには信じ切れなかった。

「九条夫人。もしそれがあなた方の新しい手なら、いい加減にしてください」

冷...

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