第43章 義母が婿を見る

「いえ、ただの本音です。知夏さんのお母さまに笑われるようなことではありません」黒崎冬馬は言葉の端々まで恭しい。

温井千代はすっかり彼を気に入った様子だった。

「ごはんはもう作ってあるの。冬馬くん、一緒に食べてから帰らない?」

温井知夏は反射的に断りかける。

「お母さ――」

「ぜひ」黒崎冬馬が、彼女より先に答えた。

温井知夏は目を瞬く。黒崎冬馬を見上げて、思わず口にする。

「……本気?」

黒崎冬馬は視線を落とし、彼女をじっと見つめた。声に、ほんの少しだけ拗ねた色が混じる。

「……残ってほしくないんですか」

「そうじゃ――」温井知夏は、言い訳がうまくまとまらない感覚に襲われる...

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