第83章 口封じの殺人

焦りと恐怖で声が裏返った男の声が、温井知夏の耳に飛び込んできた。

「……誰ですか」知夏には聞き覚えがなかった。

電話の向こうで、鈴木慶輔が慌てて賃貸の一室へ逃げ込み、身体でドアを押さえつける気配がする。

「俺だよ、鈴木慶輔! 覚えてないのか!?」

鈴木慶輔――。

「どうしたの?」

「殺される! 頼む、早く人を――あっ!!」

悲鳴が途切れ、ぼんやりと、ドン、ドン、ドンと扉を叩きつける音が重なった。

次の瞬間、言葉はぶつりと断ち切られ、通話が切れる。

ツー、ツー、ツー……。

温井知夏の顔色が一変した。

「黒崎冬馬、鈴木慶輔が……危ない!」

黒崎冬馬は即座に表情を引き締め、...

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