第91章 彼女を守る

「――じゃあ、今日はここまでにしよう。今度また会いに来たときに、話し残したことの続き、聞かせてあげる」

温井千代が立ち上がった、その瞬間。ふらりと身体が揺れた。

隣にいた温井知夏が、とっさに母の腕を支える。

「お母さん!」

「大丈夫よ」

温井千代は宥めるように娘の手の甲をぽんぽんと叩いた。

「さっき、ずいぶん長く跪いてたからね。身体が一瞬、ついてこなかっただけ」

温井知夏の瞳に、拭いきれない不安が浮かぶ。

「知夏。お父さんと、二人でゆっくり話してきなさい」

温井千代は柔らかく微笑む。

「私は冬馬のところで待ってるわ」

そう言い残し、温井千代は歩き出した。

母が黒崎冬馬...

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