第13章

「九条社長……どうして、ここに……?」

柚木結華が沈黙を破った。けれど九条獅堂の目を真正面から見る勇気はなく、できることなら今すぐ透明人間になって消えてしまいたい。

九条獅堂が現れた時点で、ろくなことが起きない。

九条グループを束ねる男。長年、決断は苛烈で容赦がなく、ああいう場面ですら絶対に主導権を手放さないタイプ――。

考えれば考えるほど、胸の奥がざわつく。

獅堂は、結華の耳の付け根がうっすら赤いことに気づいた。俯いたまま言葉を濁す仕草を見て、察する。

自分のタイミングの悪い訪問が、部屋の中の“いいところ”を邪魔したのだと。

その瞬間、獅堂の顔から温度が抜けた。

九条陽向は...

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