第14章

黒のストレッチ・リムジンが、路肩に静かに停車した。

運転手が後部座席のドアを開けると、九条獅堂は顎で示して柚木結華を先に乗せる。

結華が腰を下ろした、その瞬間だった。隣に影が滑り込み、座面が沈む。首の後ろに男の腕が回り、清冽な気配が吐息の距離まで迫った。

柚木結華の身体がびくりと硬直し、反射的に身を引く。

だが、その小さな拒絶は見逃されない。首の後ろの腕がぐいと力を増し、彼女を抱き寄せた。

ほとんど胸に押しつけられる。しかも、手が誤って彼の腿に触れてしまった。

車内は狭い。前には運転手がいる。

結華は本能的に身を起こそうとしたが、男のもう片方の手が腰を掴み、容赦なく引き戻す。

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