第171章

翌朝。

柚木結華は九条獅堂を見送ると、車で柚木ジュエリーへ向かった。

知りたかったのは、柚木安東が事故を起こしたあと、彼が握っていた持ち株と担当事業を会社がどう処理するつもりなのか――その一点だ。

到着すると、柚木安高はすでに社長室にいた。結華の姿を認めた瞬間、瞳の奥にわずかな驚きが浮かぶ。だがそれも一瞬で、何事もなかったように表情を整える。

「荷物の整理は、もう済んだかい?」

春風みたいに穏やかな声。いつも通り静かで、どこまでも上品で、目も真っ直ぐだ。

――ついさっき自分を会社から追い出した男でなければ。少し前に人を使って車をぶつけさせた男でなければ。

危うく「この人は私に優...

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