第19章

九条陽向は、人が倒れ込むのを見て青ざめ、咄嗟に手を伸ばして叫んだ。

「結華!」

その傍らにいた林田清美は、ふいに身体をくずすようにして横へ倒れた。苦しげで、どこか哀れを誘う目つきで、結華を気にかけているはずの九条陽向を見上げる。

「陽向兄さん……」

甘く弱々しい救いを求める声。

「清美――っ」

九条陽向は明らかに動揺した。「大丈夫か?」

倒れているのは二人。距離もある。

清美を起こせば結華に手が届かないし、結華へ向かえば清美を置くことになる。

九条陽向は二人の間に立ったまま、足が縫い付けられたように迷った。

「陽向兄さん、私は平気……お姉ちゃんを起こしてあげて」

林田清...

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