第21章

柚木結華は重い身体を引きずるようにしてデパートへ戻った。さっとシャワーを浴び、ひとりで適当に出前を頼む。

時間だけが、淡々と過ぎていく。

九条陽向からは一本の電話もない。気遣いのメッセージすら、ひとつも届かなかった。

――けれど、結華も彼を探すつもりはなかった。

静かでいい。むしろ清々しい。

大切なものを渡す前に、あいつの本性が見えた。それだけで十分だ。もっと深く傷つく前に、引き返せたのだから。

どうせ最初の一度を捧げるなら、クズ男よりも、二度と交わらない赤の他人のほうがいい。

一夜限りで終わって連絡が途絶えても、惨めにならずに済む。

それに――九条獅堂が相手だったのは、運が...

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