第25章

柚木結華は、またしても言葉を失った。

両家の縁組が既定路線なのは分かっている。けれど九条獅堂が、ここまで切迫した様子で結婚相手を求めているとは思わなかった。

濃い睫毛の奥から、深い眼差しがまっすぐに彼女を射抜く。

彼の言う通りだ。服を着ればすらりとしているのに、脱げば無駄のない筋肉がある。家柄も申し分ない。H市の男の中でも、最上級の選択肢。

そして何より――夜が、強い。

そういう相性は、女にとって大事だと、誰かが言っていた。

二か月。自分の計画は予定通りに片づいた。もう、未練も足枷もない。新しい生活を始められる。

そう思うと、柚木結華は睫毛を落とし、消え入りそうな声で答えた。

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