第35章

夕食を終えると、それまで姿を消していた執事が戻ってきて、黙々と食卓を片づけ始めた。

九条獅堂は食べ終わっても何も言わず、すっと立ち上がるとそのまま二階へ上がっていく。何をしに行ったのかは分からない。

その背中を見送った柚木結華は、どうにも居心地が悪かった。広いリビングに残されたのは自分だけ。出ていくのも変だし、かといって居座るのも気まずい。

手持ち無沙汰で視線をさまよわせていた、その時――ふっと目が輝いた。

リビングから二階へ続く螺旋階段。その付け根の左右に、同じように花瓶が一つずつ置かれている。大きさと形からして、以前どこかで見た青花の象耳瓶に違いない。

結華は足早に近づき、花瓶...

ログインして続きを読む