第37章

柚木安東は怒りに顔をこわばらせたまま屋敷へ戻ると、二段飛ばしで階段を駆け上がった。書斎の扉は開け放たれ、ぱらぱらと書類をめくる音が漏れている。さらにその手前、廊下の床に林田美菜子がへたり込み、片腕を押さえながら青い顔をしていた。

「旦那さん……お帰りなさい!」

林田美菜子は助けを見つけたみたいに目を潤ませ、けれど書斎のほうを怯えるように見てから、安東の袖をきゅっと掴んだ。

「……結華ちゃんが、お母さまのことを今でも強く想っているのは分かってます。一時的に私を受け入れられないのも……だから、私、待てますから」

「ちょっと感情が先走っただけですの。結華ちゃんを責めないでくださいね」

「...

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