第39章

林田清美は、谷口明里が九条陽向に酒を注ぐのをじっと見ていた。さらに、陽向がそのグラスを受け取り、喉を鳴らして残さず飲み干すのを、目の前で見届ける。

腹の底がむかむかする。けれど、それを顔に出す勇気はなかった。

九条家のH市での立場は、誰も並べない。しかも相手は九条グループの専務、九条陽向だ。もし彼が自分に飽きて、軽く蹴り出したら――これまで積み重ねてきた努力は、全部水の泡になる。

そう思うと、林田清美はやけに聞き分けよく、カラオケの部屋を後にした。

一夜の泥酔。

九条陽向がホテルで目を覚ますと、頭が割れるように痛かった。反射的に声が出る。

「結華、水……」

「九条さん。明里です...

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