第42章

高級車はノディ別荘の前に静かに止まった。

柚木結華は外の表札を見つめ、腹を括る。九条獅堂には――もうこれ以上は駄目だと、はっきりさせないといけない。今日は危うく九条陽向に気づかれかけた。次は、何が起きるか分からない。

「話があるの」

結華が身をひるがえすと、隣でシートベルトを外していた男を見た。薄暗い光が横顔を縁取り、底の知れない雰囲気だけが際立つ。

獅堂は動きを止め、暗い瞳を向けてくる。

その真剣さに、結華の胸のざわめきが少しだけ引いた。

「あなたが来るたび、私の普通の生活が崩れるの。……私たち、もう少し距離を置いたほうがいい」

九条獅堂が小さく笑う。何を考えているのか読めな...

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