第45章

それでも、柚木結華の胸の奥には、どこか惜しいという気持ちが残っていた。

柚木家の人間として上質な原石を見分ける目はある。けれど――この「特殊な力」を得る前から、彼女はすでに良い原石を鑑定できていたのだ。

今の審美眼に、あの力まで重なれば。

彼女は百パーセントの確信をもって、絶対に外さない。

だが現状、より上位の力を事前に感知できない。

それはつまり、このあと仮面オークションの場で思いきり腕を振るうことができない、ということでもあった。

隣にいる二人は、結華が何を考えているのかなど知る由もない。

スタイリストは黙々と宝飾品を片づけ、仕事が終わると九条獅堂に一礼して下がっていった。...

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