第46章

「君が来られるなら、私が来ちゃいけない理由、ある?」

柚木結華は顔色ひとつ変えずに言い返し、林田清美の手を振りほどこうとした。

――でも、内心では舌打ちしていた。

こんな格好で来たのに、どうやって気づいたの?

振り払った瞬間、手首に引っかかるような違和感があった。視線を落とすと、そこにあったのは、母が遺してくれたブレスレット。

長年ずっと身につけてきた。風呂でも仕事でも外すのが惜しくて、もはや身体の一部みたいになっていたせいで、逆に意識の外に追いやっていたのだ。

林田清美も九条陽向も、彼女とは長い付き合いだ。結華がそのブレスレットを手放せないことを知っている。――だから、これで見...

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