第54章

最高峰のコレクションは三分の二まで切り裂かれた。――露わになったのは、やはりただの石。

会場の視線はすべてその原石に縫い止められていた。誰かが信じられないといった顔で目をこすり、なおも食い入るように見つめ続ける。

柚木結華は、最高峰のコレクションが大した代物ではないことを知っている。残りの部分に万が一宝石が潜んでいたとしても、せいぜい「よくある石」に毛が生えた程度。途端に興が削がれ、スタッフに「9番の品を包んで」とだけ告げた。

今日の成果には十分満足していた。

なかでも、スタッフの手に収まる淡いピンクの宝石――それを見つめる彼女の瞳には、ふわふわと甘い泡が浮かぶみたいにとろけた光が宿...

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