第59章

骨董市の品は日替わりだ。あの瞬間に「いい」と思っても手を伸ばさなければ、次に来たときにはもう二度と目にできない――そんなことがざらにある。

柚木結華が今回ここへ来てみると、確かに珍しいものは多かった。けれど粗が目立つ品ばかりで、蒐集に値しない。ましてや、お爺さんへの贈り物にはできない。

彼女は焦らず、初めて来た日と同じように一軒一軒、丹念に見て回った。

ほどなく、少し先の露店が目に入る。地面が日差しを受けて青く照り、そこに吸い寄せられるように歩みを速めた。

並べられていたのは、青い石――サファイア。

色味も質も、オークションで見る宝石とは比べものにならない。それでも最底辺というほど...

ログインして続きを読む