第63章

九条獅堂が言い終えるや否や、秘書が扉口に立ち、きびきびとした口調で業務を報告した。

「九条社長、本日の会議は午後4時に変更となりました」

「行こう」

九条獅堂は立ち上がると、ノートパソコンを秘書に預け、すらりと長い脚で部屋を出ていった。

聞けば、九条獅堂は本当に多忙らしい。あれほど巨大な九条グループを、たった一人で切り盛りしているのだ。H市で思うがままに権勢を振るえる男――そう見えても、その権力の下にあるのは、重い責任と途方もない負担だった。

会社は、彼の失敗を許さない。

そして彼自身もまた、自分に一切の甘さを許さない。これまで一度として、取り返しのつかないミスをしたことはなかっ...

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