第64章

柚木結華は唇をきゅっと結び、岩崎優奈へ失礼のない程度に微笑んでみせると、すぐに視線を引っ込め、食欲をそそらない料理へ目を落とした。

食卓では、柚木安東がその無作法に居場所を失ったような顔になり、結華をきっと睨む。

離れた位置から飛んでくる圧に、結華は気づかないふりをした。

安東の隣に座る林田美菜子は、にこやかに岩崎優奈へスープをよそいながら言う。

「結華はまだ若いから、恥ずかしがり屋なの。気にしないでね」

彼女は、安東がこの縁談をどれほど大切に考えているか、よく分かっていた。結華が型破りで、継母である自分をまるで眼中に置かないことも。

林田清美が結華に取って代わる芽を残すためでな...

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