第68章

お爺様の誕生日が近づいたある日。柚木結華は会社へ電話を入れ、休みを取った。

ちょうど廊下を通りかかった林田清美は、その会話を耳にすると、口元に「してやったり」とでも言いたげな笑みを浮かべる。

柚木家の宴会当日。

本来なら「柚木家のお嬢様」であるはずの結華は、どこか場違いに見えた。

それに比べ、彼女より先に到着していた林田清美は、振る舞いの端々がまるでこの家の主のようで、結華を一段下に押し込める。

柚木安東と林田美菜子は、本当に結華が目に入っていないのか。年上の親族たちの輪に入り、楽しげに談笑していた。

清美は豪奢なドレスに身を包み、指先で果物をつまむ仕草ひとつにも妙な貫禄がある。...

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