第16章 グルになる

川島治見は今にも怒鳴り合いになりそうな空気を察し、ようやく声を出した。

「外だぞ。二人とも、やめろ」

小首を傾け、川島千晶に向けて言う。その仕草だけで、来栖琴音の胸はほんの少しだけ楽になった。

この川島千晶という女、自分がどれだけ良い待遇で養われているか、それをわきまえて大人しくする――そんな自覚が一欠片もない。

店を出ると、川島千晶はぷんぷんとした顔のまま、ひとりでさっさと行ってしまった。

琴音は冷えた声で川島治に尋ねる。

「呼び止めないの?」

「いい。あいつ、自分で帰るって分かってる」

琴音はそれ以上言わなかった。わざと不機嫌を装う。川島治がこちらに甘く寄り添ってくるのを...

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