第163章 悪意がある

来栖琴音は川島治の名前を聞いただけで頭が痛くなる。即座に突っぱねた。

「会わない。ほかは?」

「夢生工場の唐沢社長からお電話がありまして。ご出社されましたら折り返しを、と」

「安流からも連絡が入っています。面談の機会をいただきたいそうです」

「徳新の大川社長が、現場の検収にご一緒に、と……」

……

北川佳澄は午前中に入った電話を一件ずつ報告し、メモ帳を琴音のデスクに置いた。後で一つずつ処理できるように、という配慮だ。

その几帳面さに琴音は満足し、軽くうなずいて退室を促す。

――その前に、両親へ連絡しておかないと。余計な心配をさせたくない。

コールがつながると、受話器の向こう...

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