第176章 相手を思いやる

「そんなにおいしい?」

来栖琴音は両手で頬杖をつき、にこにこと尋ねた。

「麺がうまいのもあるけど、一番は琴音が作ってくれたからだよ。君の気持ちが入ってる」

浅野琉生は紙ナプキンで口元を軽く押さえ、食器をまとめてキッチンカウンターに置いた。明日になればホテルのスタッフが片付けてくれる。

来栖琴音の目に、浅野琉生はどこか近寄りがたい人に映っていた。甘い言葉なんて、ほとんど口にしない。

それなのに今日は、やけに言う。

(……これが普通なんじゃないの。好きな人と一緒にいる男の人って)

琴音は内心でこっそり毒づきつつ、頬が熱くなるのを誤魔化した。

お腹が満たされると、琉生は琴音を抱き寄...

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