第177章 婚約がある

来栖琴音が断るための言い回しを探しているうちに、森本千香がうめくように言った。

「琴音さん……あなたも、私を泊めてくれないの? 最後くらい、静かに過ごしたいだけなのに」

「最後って……どういう意味?」

琴音は理由がわからず、思わず聞き返す。

「うちの母がね。明日J市に来るの」

千香はふてくされた口調のまま、止まらない。

「ほんっと体力おばけ。グループの権限は琉生さんに渡したって言ってるけど、実際は口も手も出しまくりで、気に入らないことがあるとすぐ噛みつくの。あの人が来たら、琉生さん、また面倒くさがって死にそう」

琴音の頭が、すっと冴えた。

役に立つ情報だ。

わざと気のないふ...

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