第184章 一生かかっても学べない

この部屋にいる連中で、まともなのは来栖琴音と北川佳澄だけだった。

琴音が黙っているのを見ると、川島治がまた口を開く。

「琴音、ぼーっとしてどうした? ほら、井村社長に一杯いけよ。今日はわざわざ井村社長をお招きしたんだ。君らを引き合わせておけば、今後、邦朗から案件を取れるかどうかは――井村社長のひと言で決まるんだからな」

その焦りようは、いかがわしい店の人間そっくりだった。井村博志を見た瞬間、来栖琴音を今すぐベッドにでも差し出して、金を回収したい――そんな下卑た欲が透けて見える。

来栖琴音は冷えた目で川島治を見た。

十年も一緒に暮らした相手が、ここまで残酷になれるのか。

――でも、...

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