第185章 理由にはならない

来栖琴音は氷みたいに冷たい目で男を見据えた。振り向いた視線とぶつかると、相手はまた義憤に駆られたような口ぶりで言い放つ。

「来栖琴音。いい加減にしろ。今日みたいな場で、お前が好き勝手できると思うな」

「私は事実を言っただけですけど。川島社長、私が何か間違ったことを言いました?」

琴音は冷ややかに問い返す。

「じゃあ川島社長にとって、私が『分別がある』っていうのは、どういう状態なんです?」

川島治は臆面もなく答えた。

「井村社長の相手をちゃんとしてやれ。そうすりゃ、お前にも旨味はある」

――ああ、もう隠す気もないわけだ。

来栖琴音は鼻で笑った。

「私が断ったら?」

川島治の...

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