第188章 罵倒

「お褒めにあずかり、ありがとうございます」来栖琴音はあっさり返した。

斎藤東はそこに付け込むように言う。

「来栖社長、今回はまさしく怪我の功名とでも申しましょうか。今後の協業で、こちらの者が何か不手際でも仕かしましたら……いつでも私に直接お申し付けください」

これで、いったん棚上げになっていた協業の継続をその場で確定させたうえ、来栖琴音に「自分と面談できる特権」まで与えた形になる。

来栖琴音に異論はない。邦朗との取引は、彼女にとって損にはならないのだから。

もちろん彼女は分かっていた。相手がここまで丁寧なのは「パートナーを大切にしているから」などという綺麗事ではない。――あの、周囲...

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