第189章 どこにいる

三峰景臣の言葉に、川島治は明らかに一瞬ひるんだ。来栖琴音へ視線を投げる。その一瞥だけで、彼女の背筋がぞくりと冷える。

川島治という男は、川島千晶と同じだ。いったん牙を剥けば、毒蛇よりもずっと性質が悪い。

三峰景臣が唐突に命じた。

「もう放してやれ。元の社長だ。今日は少しだけ面子を残してやる」

来栖琴音は認めざるを得なかった。三峰景臣は有能なだけじゃない。人の心を掴むのが、うまい男だ。

彼は落ち着いた声のまま続ける。

「川島治。道は自分の足で一歩ずつ選んで歩くものだ。どんな道を行くかも、自分で決めたことだろ。周りから見ても、来栖琴音はもう十分に義理を通した。彼女の力なら、お前がJ市...

ログインして続きを読む