第201章 拉致される

斎藤東は来栖琴音の顔色が悪いのに気づくと、数歩小走りで彼女の前へ回り込んだ。

「来栖社長、どうされました?」

「大丈夫です。家に子どもがいるので、少し早めに戻らないと。……それより、斎藤社長。本日はあの土地の件、おめでとうございます。これでまた事業を広げられますね」

来栖琴音は職業的な笑みを作り、何事もなかったかのように言い切った。

斎藤東は、琴音から視線を外さない。瞳の奥に、言葉にならない暗い色がちらつく。

唇がわずかに動き、低い声が落ちた。

「送らせる」

「結構です。車で来ていますので。斎藤社長はお忙しいでしょうし、私はこれで失礼します」

言い終えるが早いか、琴音は大股で...

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