第206章 生き埋めにする

森本千香……?

いや、あり得ない。彼女は浅野琉生の婚約者なのだ。正々堂々としていればいい立場なのに、わざわざこんな手を使う必要がどこにある。

来栖琴音は、邦朗グループのあの夜の祝勝会を思い出す。まさか、あのとき一度だけ顔を合わせた井村秀美……?

井村家が、私を消しに?

考えが止まらない。考えれば考えるほど苛立ち、絡まって、糸口が見えなくなる。

空はどんどん暗くなっていくのに、倉庫の中には相変わらず自分ひとり。誘拐犯たちはどこへ行ったのか、気配すらない。

琴音は唯一の小窓を見上げ、頭の中で時間を弾いた。

この時間なら、月乃はもう下校している。迎えが来なければ園は必ず連絡してくる。...

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