第25章 お金がなくなった

来栖琴音は、何年も経った今でも会社の主要顧客が、かつて自分が獲得した古参の取引先ばかりだなんて、思いもしなかった。

つまり――川島治はこの数年、自分の力でまともに稼いだことがない。

それなのに、努力もしていない男が、平然と自分を裏切る?

怒りが血のように全身を満たし、琴音の理性を飲み込んでいった。

浮気の証拠は掴めないまま。それでも琴音は必死に深呼吸し、衝動を噛み殺す。そして、地方へ出張に行く川島治のために、何事もない顔で着替えや下着を用意した。

川島治の出張は今に始まったことではない。月に一度のときもあれば、数か月に一度のときもある。琴音はとっくに慣れているはずだった。

――な...

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