第37章 罪悪感

来栖琴音はそれを聞いた瞬間、足が床に縫い付けられたみたいに、その場で固まった。

「琴音、聞いてるの?」

受話器の向こうから届くのは、疲れが滲む母の声。掠れていて、それでいて焦りだけが鋭かった。

来栖琴音ははっと我に返り、必死に平静を装う。

「……お母さん、落ち着いて。お父さんのそばにいて。すぐ切符を取って、今から向かうから」

通話が切れる。

スマホを握ったまま、しばらく呆然として動けなかった。

両親はもともと、生粋のJ市育ちだった。

数年前、勤務先の都合で二人そろって南の都市へ異動になり、やむを得ず、あちらで生活を整えた。あの頃の琴音はちょうど卒業と起業が重なっていて、息つく...

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