第42章 演技

「うん。代償は払わせなきゃ。できれば川島治には、ろくな死に方をしてほしくない」

伊藤心優も憤りに声を重ねながら、琴音の手当てを手際よく進めた。薬を塗り、包帯を二周。最後に、痛ましげにため息をつく。

「うちのフルーツナイフ、切れ味悪くて助かったよ。もっと鋭かったら、この傷……跡、残ってたかもしれない」

来栖琴音はちらりと自分の手を見た。痛みを感じていないみたいな顔で言う。

「跡が残ってもいい。ちょうどいいでしょ。忘れないための印になる」

「覚えるなら別の方法にしなよ。こういうのは……恥ずかしいことだよ」

心優は立ち上がって救急箱を元の場所へ戻し、時計を確認すると、きっぱり言った。

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