第57章 酔う

来栖琴音は即座に言い返した。

「嘘よ!」

「俺が嘘つき? だったら替えない」

そう言うや否や、浅野琉生は琴音に言い返す隙すら与えず、店員へ軽く手を振った。

狭いボックス席には、また二人きりの空気が落ちる。

来栖琴音には、もう浅野琉生とどう向き合えばいいのかわからなかった。

ただ酔ってしまいたくて、グラスを一杯、また一杯とあおっていく。

やがて意識は、じわじわと霞んでいった。

そんな彼女の耳に、浅野琉生の声が飛び込む。

「もうやめろ」

止めると同時に、彼は琴音のグラスを取り上げようとした。

気分よく飲んでいた琴音は、細めた目で不満げにその手をはたく。

「まだ酔ってないも...

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