第58章 何もしてない

浅野琉生は、彼女が露骨に警戒しているのを見て、小さく息を吐いた。

「安心して。昨夜は何もしてない」

来栖琴音は、明らかに信じていない顔をする。

さっきから彼女の中では、浅野琉生が自分に何かした、と決めつけたままだった。

「本当だ。言っただろ。君を傷つけるようなことはしないって。昨夜、君は酔って……吐いて、服がぐちゃぐちゃだった。さすがに汚れたまま寝かせられない」

来栖琴音は、わずかに気まずそうに視線を泳がせたあと、すぐ噛みつく。

「でも、だからって脱がせるのはダメでしょ。男女の区別くらい、分からないの?」

浅野琉生は笑った。

「もちろん分かってる。風呂は家政婦にやらせた。で、...

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