第69章 例外

川島治は目を輝かせ、いまにも口を開きかけた――その瞬間。

ピンポン、ピンポン、ピンポン。

インターホンがせかすように鳴り続けた。

来栖琴音は水をひと口飲み、冷蔵庫からパンを取り出すと、軽く温めて夕食代わりにしようとする。今日はほとんど何も口にしていない。あとで胃が痛くなって、肝心な場面で動けなくなるのが怖かった。

川島治はその場でぴくりとも動かない。

言い出せなかった以上、琴音が自分から聞くはずもない。頼みごとがあるなら、向こうから頭を下げるのが筋だ。こちらが追いかける理由なんて、どこにもない。

インターホンはまだ鳴っている。ようやく川島治が玄関へ向かった。

ドアを開けた瞬間、...

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