ザ・ウェイト・オブ・ア・キス I

エマーソン視点

「おれは……その……」

「いや、いいんだ。許すことなんて何もない」アダムは早口にそう言うと、咳払いをして立ち上がり、俺たちの間に距離を作った。

自分が一体何を言おうとしていたのか、自分でも分からない。だけど、それが謝罪の言葉だったとは思えない。後悔していないと思うからだ。本当は。今しでかしたことの意味合いを考えれば腹の底がねじれるような思いがするのに、それでも。

「ああ、ええと――」

「荷物をまとめて部屋に戻ろう」アダムが遮る。別々の部屋を予約していてよかったと、初めて安堵しているような声だった。「明日は学校だ」

「ああ。うん、そうだな」

アダムはポケットから使い捨ての...

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