救急車

アダム視点

ゆっくりと寮の部屋に戻る。俺の怒りは、名前をつけるのを拒みたくなるような、別の何かに変質していた。それは冷たい毛布のように濃密に俺を包み込み、気づけば腹のあたりで腕を組んでいた。

これで終わり、ってことか。

特に理由もなく、しばらく寮の外に突っ立っていた。中に入れば、荷造りを始めなきゃならない。どこか別の滞在先も見つけないと。学期もこんなに進んだ今、線路の近くに空いている寮なんてない。だから大学の周りで部屋を探すことになるだろう。

別に構わない……いや、本当は気にしてる。誰に嘘ついてんだか。でも、まあいい。

気分を盛り上げようとしてみる。大丈夫だ。マンディに会っても、顔を...

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