第10章 動くな!

白鳥空弥が飛び込んできた瞬間、中年の男は明らかに動きを止めた。宙に上げた手が、そのまま固まっている。

すぐ後ろから警官たちが雪崩れ込み、二人がかりで男を床に押さえつけた。

「動くな! 警察だ!」

男は二、三度もがき、悪態をついたが、がっちり押さえ込まれて身動きひとつ取れない。

白鳥空弥は二歩、三歩でベッドへ駆け寄る。林田柊の姿を見た瞬間、瞳孔がきゅっと縮んだ。

襟元は乱暴に引き裂かれ、手首には縄が食い込み赤黒い擦過が走っている。顔色は紙みたいに白く、ベッドの隅に身を縮めたまま、身体が止めどなく震えていた。

白鳥空弥が手を伸ばし、手首の縄をほどこうとする。指先が肌に触れた途端、彼女...

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