第11章 まだ行くのか?

「北斗がソファから落ちて、手首を骨折した。今、病院へ連れて行ってる」

 林田柊の頭の中で、ぶん、と何かが鳴った。

 S市の研究所の廊下に立ったまま、淹れたばかりの水の入った紙コップを手にしていた彼女は、「骨折」という言葉を聞いた瞬間、それを取り落としていた。

 水が床にぶちまけられる。

「どこの病院ですか」

 自分でもわかるほど声が震えていた。

「A市中央病院。整形外科の救急だ」

 その時にはもう、林田柊は駆け出していた。

 スマホを耳に当てたまま走る。向こうからは、北斗の張り裂けそうな泣き声が聞こえてきた。

『ママ……ママがいい……!』

 その一声で、林田柊の目から涙が...

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