第44章 彼の会社は彼女が取り仕切る

林田柊はシュンドゥビルのガラス扉の前に立ち、頭上の巨大な社名ロゴを見上げた。

ここは白鳥グループ傘下でもっとも稼いでいるテック系子会社――そして、白鳥空弥が本当に心血を注いできた場所だった。

結婚して六年。彼女がこのビルに足を踏み入れた回数など、片手で数えられるほどしかない。

善意で食事を届けに来たこともあった。書類を持ってきたこともある。だがそのたびに白鳥空弥は眉をひそめ、あからさまにうんざりした顔で、さっさと帰れと言った。

会社は家族が来る場所じゃない。仕事の効率が落ちる――と。

いまの自分は、曾我京弥の研究室代表としてここに立っている。

そう思うと、笑えてくるほど皮肉だった...

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