第50章 風刺

彼女の胸に、瞬時に警戒心が立ち上がった。

この六年間、林田柊は白鳥空弥に連れられて、いくつもの集まりに顔を出してきた。名門の奥方連中が、どんなふうに振る舞うのか――痛いほど知っている。

あの人たちは、人の不幸を肴にするのが大好きだ。

案の定、派手な毛皮をまとった女が、ワイングラスを揺らしながら寄ってきた。

「まあ、白鳥奥様じゃない。今日は白鳥社長、ご一緒じゃないの? 聞いたわよ、白鳥社長ったら最近、南区の一等地に誰かのために豪邸を買ったんですって。白鳥奥様、正妻なのに、ずいぶん――」

林田柊がその場で一歩も引かず、言い返そうとした、その瞬間。

伊波叔母様が冷えた顔で、足早に割って...

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