第56章 自分を欺き

黒塗りのマイバッハが、白鳥家の門をゆっくりとくぐった。

車が静かに停まると、林田柊はドアを押し開け、そのまま大股で降り立つ。

白鳥空弥も後に続き、二人は前後して邸のホールへ入っていった。

白鳥の祖母はまだ休んでおらず、リビングのソファに腰かけ、使用人に肩を揉ませていた。

足音に気づいて顔を上げる。白鳥空弥と林田柊がそろって入ってきたのを見た瞬間、しわだらけの顔いっぱいに満足げな笑みが広がった。

「ようやく一緒に帰ってきたねえ」

祖母は立ち上がり、歩み寄って白鳥空弥の腕をぽんぽんと叩き、それから林田柊にも目を向ける。

「夫婦なんだから、わかり合えないことなんてないよ。これからは空...

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