第184章 檸檬の貧しい彼氏は誰かに似ている

檸檬は梨園で食事をしたことがあるような気がした。

以前、楓にご馳走になったとき、行ったのはまさにその場所だった。

千謙は珍しく少し後ろめたそうな様子で、顔をこわばらせながら答えた。

「ああ、前に俺たちが行ったところだ」

どうせ楓の『おごり』だったのだ。

檸檬は頷く。

「道理で聞き覚えのある名前だと思いました」

湘子は口元を覆ってくすくす笑った。

「もう、見栄を張るのはやめてよ。あなたたちが行ったのは梨園のパチモンで、私が言ってるお店とは全然違います。だって、しがない保健医の身分じゃ、そこの一食分も払えないでしょうから」

さっきここを通りかかったとき、檸檬が男と一緒にいるのを...

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