第311章 彼女の存在を公に認める

千謙のその言葉は、大いに誤解を招くものだった。

隣にいた詩織の表情は、もう崩れる寸前だった。まさか千謙が今日の会食に檸檬を連れてくるなど、夢にも思わなかったのだ。

その上、人前で檸檬とああだこうだと言い争うような素振りまで見せている。千謙は彼女の面子を少しも考えていないというのだろうか?

誰もが、彼女と千謙は付き合っていると思っていたのに。

檸檬は振り返って千謙を一瞥した。彼は、あんな言い方をすれば誤解されると分かっているのだろうか?

誰が彼の交際相手だというのか。

千謙も彼女を見ず、そのまま檸檬のために椅子を引き、座るよう促すと、自分はその隣の空席に腰を下ろした。

檸檬はわずか...

ログインして続きを読む